アスキー総合研究所 > 所長コラム > 「萌え」を最も吸収している台湾
2008年11月04日 00時00分
仕事や遊びで海外に出かけるが、ほとんど毎年行くのは香港と台湾、その次が米国である。台湾が多いのは、6月に世界最大級のコンピュータ・ショウがあるからだが、今年は10月にも某メーカーの新製品発表会で台北に出かけた。この台北、毎年出かけるわたしの視点では、海外で最も「萌え」を正確にキャッチしていると思う。
わたしが初めて台湾に出かけたのは1986年だと思うが、空港でつかまえたタクシーに乗り込むと『骨まで愛して』('60年代の大ヒット歌謡曲のカバー)が鳴っていて腰を抜かした。お父さんが日本マニアで困るという『多桑』('94年、台湾)という映画もあった。歴史をひも解けば、日本文化の流入はいまに始まったことではなく、何を寝ぼけたことをといわれそうだ。
なぜ、台湾が「萌え」を正確にキャッチしていると思うのかというと、他国の状況と比較してのことだ。海外で真っ先にメイド喫茶がオープンしたのも台北だったのではないか? 香港などのアジア諸外国にも日本のアニメ・マンガ・ライトノベルは進出しているが、どうも台湾とは“深度”が違う。要するに、アキバ系のカルチャーの空気を十分過ぎるほど吸い込むことができるのが台北というわけだ。
その理由というのを考えてみると、「顔形や体型が、日本人に近い」(これは韓国や中国もそれほど違わない)、「制服や体操着などが日本に近い」(日本でも中学生が使っていた布製ズダ袋カバンもある)、「電脳街の楽しさが近い」(ガンダムも好きでバンダイが直営店を開いている)など、いろいろと思いあたることはある。
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| 自作Tシャツを体操着姿で売る高校生2人組(西門街) | 卒業記念の花や風船を持った女子高生たち(台北駅前) |
しかし、最大の理由は日本カルチャーの吸収歴の長さに尽きるのではないかと思うのだ。台北で原宿・渋谷に相当する街といえば、西門町ということになっている。一方、電脳街は、この夏に新装オープンなった「光華數位新天地」が有名で地下鉄で3駅ほどある。ところが、台北の萌えの拠点も西門町なのだ。
台湾が、萌えを正確に理解している理由は、原宿・渋谷という「練習問題」を十年以上も前からこなしているからだ。などということを、仕事や知り合い関係の台湾人と話をしていると感じるのである。逆にいえば、日本でアキバが萌えの震源地だとして、そこに原宿・渋谷との関係を見ないといけないのかもしれない。
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| 昨年、台湾で『奇怪ね』(布克文化刊)がベストセラーとなった青木由佳さんからもらった「檳榔(ビンロウ)売り」のお姉さんのフィギュアのガチャガチャ |
アスキー総合研究所所長の遠藤 諭が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。
本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。