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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ Act.9
2009年01月13日 14時01分
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1月8日から、「CES」(米国の家電ショウ)のためにラスベガスに来ている。家電といっても、テレビなどのAV機器、パソコンやケータイなどの情報機器とその周辺、カーエレクトロニクスの3ジャンルが中心の見本市である。今回の目的は、数年ぶりにパソコンの本体に「新しい流れ」が起きているのを、より詳細に見ることだ。
「新しい流れ」とは、日本では1年前に発売されたミニノート(ネットブック、超低価格ノート、ULCPCなど、いろいろな定義や呼び方がありますが)と、MacBook Airの影響でいくつか噂される薄型デザインノート、そして、Blu-ray搭載のフルHD対応ノートである。その中でも、私のここ半年ほどの最大のテーマとなっているのが、パソコンの価格を一気に半分以下に下げてしまったミニノートだ。
このカテゴリの商品が、日本市場では確実に浸透してきていることが、アスキー総研が12月に行った調査でも明らかになっている。ついでながら、「新しいミニノートの発売を希望するメーカー」としては、1月8日に「VAIO type P」を発表したソニーがトップだった。
しかし、今回のCESでは、ミニノートの最新傾向を見にいくつもりが(十分な事前情報があったのだが)、家電・デジタル機器全般の行方というものを考えさざるをえなかった。
「テレビを買うなら米国で」というのは、2日目の夜に、自動車系ジャーナリストのM氏とご飯を食べたときに出た話だ。たまたま郊外のショッピングセンターに出かけたら、パナソニックの42型プラズマテレビが、600ドル台(約5万5000円)で売られていたそうだ。iPhoneで撮影した値札の写真まで見せてくれた。「そうだろう」とは誰しも思っていたことかも知れないが、半端ではない安さだ。店員に理由を聞くと、次のように答えたそうだ。
・米国は、2月にアナログ停波が迫っている
・クリスマス商戦で売れると思ったが売れなかった
・メーカーは、地デジテレビの作りすぎで大量在庫
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| 価格比較サイト「NexTag」による、パナソニックの42型プラズマテレビ「TH-42PX80U」の価格推移。平均価格は12月に少し上向いているが、基本的に大きな右肩下がりが続いている。グラフ中の青線が最安値。 |
これに円高も加わってのことだが、いくらなんでも1インチ1500円は凄いのではなかろうか? ホテルに帰って、あらためて米国の価格比較サイト「NexTag」で調べてみた。M氏との話に出たパナソニックの42型プラズマについて見ると、凄いグラフが出てきた。
プラズマだけが下がっているのでは? 720Pだから下がっているのではないか? あるいは42型だけが下がっている、パナソニックだけが下がっているのではないだろうか? などと思われる方もいると思う。しかし、答えは、液晶でも、1080Pでも、52型でも、ソニーでもサムスンでも、まんべんなくテレビの価格は下がっている。価格の下落率にはもちろん傾向はあるものの、どれか特定のケースだけが飛び抜けて下がっているわけではない。
NexTagの最安値のカーブを見ると、8月から急速に落ちて、11月に再度どすんと落ちている。夏頃の半分くらいの値段になっているのではないだろうか? そこで、日米のAmazonと価格.comでも調べてみた。すると、日本では、米国の約2倍のお値段で売られているテレビもあることがわかった(機能などで差がある可能性もあり、慎重な比較が必要だが)。
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ちなみに、「これではVISIOが困るだろう」と思って、同社のサイトをのぞいてみた。すると、前述のパナソニックの42型プラズマと同じサイズ・解像度の液晶テレビが、たしかに安くはあるが、それでも拮抗したお値段になっている(送料を考えると、米Amazonでパナソニックのプラズマを買うほうが安い)。有名大手メーカーと、新興激安テレビメーカーの価格逆転という異常な事態が起こっている!
ところで、「テレビの値段が下がっている」というのは、景気だけの問題なのだろうか。
CESの会場では、ソニーもパナソニックもシャープもサムスンも、それぞれに特徴は出そうとはしているが、主として超薄型や240kHzスキャンなど高画質、3Dといった特殊技術が目につく展示だった。ショウの最終日、改めてブースに出かけて、「テレビの価格が下がっていると聞いたが」と言うと、スタッフにあからさまに嫌な顔をされた。そして、「高画質はそんなに必要なのだろうか?」と聞くと「自分たちの提供している画質は素晴らしい」としか答えてくれなかった。確かに、画質は良いに決まっているわけなのだが。
以前、テレビ局の方にインタビューしたときのことだ、ネット配信について話を聞いたのだが、その方は「アナログ停波のほうが怖い」と答えた。「2011年7月にテレビが映らなくなったときに、それをきっかけにテレビを見なくなる人が出てくる」というのだ。米国は、金融危機のおかげで「テレビの売れ行き」なんて生ぬるいことを言っていられる状況ではないのかもしれない。しかし、ユーザーのテレビに対する意識は大きく変わってきているというのもありそうだ。
はたして、2月17日に迫ったアナログ停波の前に、米国ではテレビが売れていないということなのだが……。
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| 追伸。わたしも、ラスベガスの中心部を逃れて郊外の「ウォルマート」に出かけてみた。ここでは、720pはもはや目立たず、フルHDの42型液晶が700ドル台から売られている。シャープの46型フルHD液晶テレビ1048ドル、ソニーの46型フルHD液晶1398ドルも強烈だ。 |
アスキー総合研究所所長の遠藤 諭が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。
本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。