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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ Act.24

モンハンのヒットの理由、知りたくありませんか?

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2009年05月26日 09時22分

『モンスターハンターポータブル 2nd G』
『モンスターハンターポータブル 2nd G』

 アスキー総研のゲーム市場レポート『電撃便』の集計によると、2008年度の国内のゲーム市場は、ハードウェアが対前年比27.5%減の1133万台、ソフトウェアは同11.9%減の6922万本。ゲーム市場全体の金額規模でも17.2%減の6065億円と、2004年度以降拡大を続けてきた市場規模が、5年ぶりに縮小した。

 ここ数年の景気後退を考えれば、昨年までゲーム市場が伸びてきたことのほうが不思議と映るかもしれない。そこで内訳を見ると、ハードウェアにおいてはWiiとニンテンドーDSの伸びがあり、ソフトウェアではそれを支えた『脳トレ』や『Wii Fit』などのカジュアルゲームの存在がある。ゲーム市場は、その中身を大きく変質させながら、成長を保ったきたというほうが正しい。

 これらは、「ブルーオーシャン戦略」の成功例として引き合いに出される、任天堂によるものだ。ブルーオーシャン戦略とは、飽和して熾烈な競争を繰り広げるレッドオーシャンを棄て、新しい価値を提供する競争者のいない新市場に挑むことだ。全世界で1000万本以上売れているWii Fitは、いまだにWiiの販売に貢献し続けている。

 しかし、あらためて2008年度のゲーム市場を振り返ると、「コミュニケーション性」に根ざしたゲームが上位を占めた点にも注目すべきである。ソフトウェアの売り上げトップ5は、いずれも何らかのかたちでの人と人のコミュニケーションを軸にしていて、テレビの前でゲームに没入するようなタイトルは入ってこない。ポケモンやマリオカートは、コミュニケーションとしての遊びを演出しているし、Wii Fitは、コミュニケーションの場を画面の中からリビングに引っ張り出した。そして、新しいかたちのコミュニケーションを生み出していると指摘されているのが、『モンスターハンターポータブル 2nd G』である。

2008年度のソフトウェア売り上げ トップ5
2008年度のソフトウェア売り上げ トップ5(アスキー総研調べ)。ポケモンや任天堂勢の強力ラインナップに、モンスターハンターもしっかり食い込んでいる。モンスターハンターポータブル 2nd Gの販売数は2008年度中は約164万本。同年10月にリリースされた(通常版より価格が安い)the Best版と合わせると、出荷本数は300万本を超えている。

 2008年度のゲームソフト市場は、5本のミリオンヒットを飛ばした任天堂が6年連続の首位を維持した。そうした中にあって、通信対応アクションゲームのモンスターハンターポータブル 2nd Gは、2008年3月に発売されるや過去の同シリーズを上回るヒットとなり、2008年夏ごろには、社会現象としてメディアにも取り上げられた。今年3月には、PSPソフト初の300万本超ヒットを達成。その後も、週間2万本前後の売れ行きを続けている。毎週ゲーム市場レポートを提供してきているアスキー総研だが、この1年間、毎週のミーティングで「モンハン」という言葉の出ないことはなかった。

 モンスターハンターは、4人がハンターとなって、通信機能を利用しながら狩りをしていくというゲームだ。教室で、あるいは喫茶店やファミレスでPSPに向かう姿が、新しい世代の風俗として映ったというのはあるだろう。興味深いのは、4人がプレイするゲームの中に生じるコミュニケーションや、プレイヤー同士の関係性である。モンスターハンターは、アクションゲームとしての奥深さを持ちながらも、初心者が熟練メンバーに同行し、レクチャーしてもらいながら遊ぶことができる。ふだんこの種のゲームをやらない層のユーザーでも、モンスターハンターの中では同じ時間を共有できる。

 しかし、モンスターハンターシリーズのプロデューサーである辻本良三氏(カプコン 編成室)は、ゲームの外側のアナログなコミュニケーションの重要性を強調する。はたして、4人のゲーム世界とその外側に広がるリアル空間でのコミュニケーションの関係とはどんなものなのか?

 そんなわけで、『モンスターハンターポータブル 2nd G』についてのトークセッションをやることになった。8月1日にはニンテンドーWii向けの最新作『モンスターハンター 3(トライ)』の発売を控えている。講師に辻本良三プロデューサー、聞き手には拡張現実の研究で知られる慶應義塾大学の稲見昌彦教授をむかえてのセッションである。モンスターハンターのコミュニケーション戦略に、あらゆる商品展開のヒントが隠れている。

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■このコラムについて

 アスキー総合研究所所長の遠藤 諭が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。

 本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。

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