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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ Act.25

ゴスロリ人口100万人、200億円市場

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2009年06月02日 23時29分

 アスキー総研のテーマは、デジタルとコンテンツの関係というわけなのだが、これが「都市論」的な話になってくる。たとえば、アスキー総研は、現在の「秋葉原」を80年代の「原宿・渋谷」をアナロジーとして見ている部分がある。原宿・渋谷 <―> 秋葉原、ファッション・広告 <―> デジタル・コンテンツ、パルコ・竹下通り<―>ヨドバシ・中央通り、パルコ文化<―>角川グループという図式が書けるだろう。角川グループというのは、音羽一ツ橋(講談社・小学館)よりも一段私小説的で、萌える文化を持っている。いまの時代なりの、文学に近いマンガ・アニメというべきか。

 それでは、原宿・渋谷の文化が80年代以降どのような道をたどったのか。これには個人的にものすごく興味があった。映画『下妻物語』を見て、ロリータ、ゴスロリ、カワイイに、その思想的な背景というものに圧倒された。ところが、わたしは言うまでもなく、秋葉原や神保町のほうをフランチャイズにしている。わずか十数キロしか離れていない原宿・渋谷が、ドバイやチェコくらい遠くに感じられてしまうのだった。もっとも、秋葉原を歩いているわたしは、まだ自分の知る世界とゴスロリやカワイイの世界を比較してみようと試みることができる。一般的には、いまどきのファッションの市場メカニズムやライフスタイルについて、断片的な情報しか提供されていないのが現実なのだ。

 そんなおり、昨年10月、『映像新聞』の元編集長清水計宏さんが開催している会で、丸井の平岩国泰さんと知り合うことができた。新宿マルイ ワンは、原宿で発生したゴスロリに代表されるファッション文化を取り込んでフロア展開している。日本でいちばんゴスロリを売る店舗なのだ。しかも、英語、フランス語、中国(繁体字・簡体字)、韓国語で、それらを世界に発信している。「一棟丸ごとCOOL JAPANのような店舗を世界に展開したい」という野望を聞いて、わたしはちょっと嬉しくなった。

新宿マルイ ワンの品ぞろえ
新宿マルイ ワンの7F、ファッション雑誌『KERA』の展開する「ケラショップ エンジェル」の品ぞろえ。

 丸井は、ゴスロリの発祥の地である原宿で服を売っている人たちよりも、この世界を消化している部分がある。それでは、いまの日本のファッションやストリート文化の中での、これらの服や小物や髪型やコンテンツの位置づけはどうなのか? そもそも、それらはどんな内容のもので、何が彼らを惹きつけるのか? 直接的・間接的に、いまの若者の文化全体やコミュニケーションのスタイルにどう関係しているのかを、知りたくなってくる。

 7月にパリで開催される「JAPAN EXPO」に行く予定の方もいらっしゃるだろうが、お膝元の日本のファッションについてまず知っておきたいと思う。日本のポップカルチャーの持つ可能性やそのパワーの本質とは何なのか? 平岩氏によると、このジャンルの中の「ゴシック&ロリータ」だけで、そのファッションに身を包んでいる人口は100万人、年間200億円の市場規模だという。決して大きくないようにも見えるが、彼らこそ日本の文化や未来について、語らずとも強烈なメッセージを投げかけているとも思うのだ。

 というわけで、6月11日(木)19:00~21:00に、COOL JAPANの最前線に関するトークセッションを行います。第一部では「新宿マルイ ワンのねらい」と題して、講師に株式会社丸井の平岩国泰氏、聞き手に慶應義塾大学教授の中村伊知哉氏を迎えて、丸井の取り組みを語っていただきます。そして第二部では、新宿マルイ ワンの関係フロアを平岩氏の案内で実地体験しながら、その生の世界を肌で感じてみてください。

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■このコラムについて

 アスキー総合研究所所長の遠藤 諭が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。

 本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。

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