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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ Act.32

iPhoneとAndroid、どっちを使う?(続々)

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2009年09月08日 22時24分

Google Android
Photo:ToastyKen CC-BY

 7月中旬、アップルがタブレット型の端末を発売するという情報が流れた。これには、Mac OSとiPhone OSのどちらが搭載されるかといった議論もあった。個人的にこの領域にとても興味を持っていて、Android搭載のタブレット「GiiNii Movit」なども気になっていた。iPhoneでモバイルのトレンドを大きく変えたアップルが、次にタブレットに行くというのは、納得できる話だと思っている。

 とくに、A4サイズ前後の液晶1枚もののピュアタブレット(キーボードなし)である。大谷和利氏が『MacPeople』誌で、アップルの特許からこれから出るマシンを予測する記事をやっているが、その中にもタブレット的な端末は登場している(2009年1月号p.178の「MacBook touch」、同6月号p.222の「iStale」)。その端末がはたしてiPhone OSか、Mac OSかだが、わたしは少なくともMac OSそのものではないと思う。

 Macでないのだから、Windowsでも、Ubuntuでも、要するにパソコンのOSではダメだということだ。情報家電的と言いたくなるが、日本の携帯電話の判じ物のボタンや何通りものショートカットは、iPhone以上に分かりにくいのはご存じのとおり。シンプルかつ機能的、そしてコンピュータの煩わしさのない世界であるべきだと思う。

iPhon & Human
コンピューティングの次の大きな波は、ピュアタブレットではないだろうか?

 それでは、アップルのタブレット端末は、iPhone OSを載せるべきなのかというと、それも違う。iPhone上では、ブラウザにしろネットを使うアプリにしろ、ソフトを起動したときにウェブに接続する。iPhone OS 3.0になって、「プッシュ」が可能になった。クラウド側からiPhoneにデータを送り付けることができるようになったのだが、いまのところはポップアップが出るようなインターフェイスだ。つまり、iPhoneは待ち受けの状態では、ネットに接続していないという前提なのである(実際には無線を掴んでいたりするわけだが)。

 これから出てくるタブレット型の端末は、「ウェブコネクテッド」(ネットに繋がっている意識で使える)であるべきだと思う。

ウェブコネクテッドと
カスタムUI

 「iPhoneでできることのほとんどは、Androidでもできる」と前回書いた。その逆も真か? というと、実は、Andoidでしかできないことがいくつかある。その代表が、「ウィジェット」だろう。これは、Androidの壁紙上に、ニュースのヘッドラインなどを置いておけるものだ。使用中のアプリとは無関係に動作しており、電話をかけたりメールを確認しようとして端末を手にとったときに、最新のニュースが目に飛び込んできたりする。

iPhon & Human
NTTドコモのAndroid端末「HT-03A」のデスクトップ上に並んだウィジェット。Twitterやロイターニュースといった定番モノだけでなく、ユーティリティーからジョークツールまで、さまざまなウィジェットがAndroid Marketに出そろっている。

 この種のソフトは、日本の携帯電話にもあるのはご存じのとおり。NTTドコモは、そういったものを利用者のライフスタイルにあわせて提供する「iコンシェル」のようなサービスも開始している。つまり、ウィジェットやプッシュ自体は、まったく新しい概念ではないのだが、これがAndroidという非常にオープンな環境で提供されることの意味は大きい。

 iPhone以降、世界のモバイル関係者が注目しているテーマはいくつかある。電子マネー(「Nokia Money」が発表された)やテレビ機能、コンテンツ配信など、日本ではすでにお馴染みのものも少なくない。しかし、その中でも最も大きなテーマは、日本の携帯電話があまり力を入れていない「ウィジェット」と「マルチタスク」とではないかと思う。

 ここでキーワードとなるのが、「カスタムUI」(UI=ユーザーインターフェイス)である。

 Androidの「カスタムUI」は、スキンだけでなく操作体系までをも含めて、文字どおりユーザーインターフェイスを入れ換えることが可能だ。Windows Mobileも、独自のUIをのせることが可能であり、同じような議論が出てきている。たとえば、最近のカスタムUIに関係する話題には次のようなものがある。

1.HTCも最新モデルではカスタムUIを採用
 NTTドコモから発売している「HT-03A」(Dream)に続く「Hero」や「Click」などの新端末では、いずれもカスタムUIを搭載。Heroは、国内でもモバイルプラザなどが輸入販売しているが、特徴的なウィジェットのフリックによる切り替えは快適である。

2.TwitterやFacebookをプッシュで受信
 モトローラの「Blur」は、TwitterやFacebookのアップデートをプッシュで受信できるカスタムUI。メールではなく、Twitterなどのソーシャル・メディアをプッシュする点が注目される。

3.チャイナモバイルが提唱する「OPhone」
 世界最大の携帯キャリアであるチャイナモバイル(中国移動通信)が、「OMS」(Open Mobile System)というプラットフォームを提唱。Androidをベースにしており、搭載端末を「OPhone」という。レノボやLG、デルが製品を発売することもあり、1勢力になる可能性もある。

4.ソニーエリクソンの「Rachael」
 ソニーエリクソンは、「Idou」や「AINO」など、エンターテインメント色の強い端末などを発表して注目されている。同社の取り組みの中では、カスタムUIは大きな意味を持ちそうだ。同社は、Windows Mobileでも「Pannel」と呼ばれる独自UIを提供しているが、Android端末の「Xperia X3 Reichel」でもカスタムUIを採用。

5.PNAとスマートフォンの関係も変化
 ASUSTeKは、PNA(ポータブルGPS)大手の「Garmin」と組んでスマートフォンを開発中だが、Windows Mobileを使ったカスタムUIになるものと思われる。一方、PNA最大手のTom Tomは、iPhone用アプリを発表して注目されている。

6.韓国勢は独自UIでフルタッチ化
 サムスンは「touchWiz」、LGは「C-CLASS」といった独自UIで、Windows Mobileベースのフルタッチ携帯をいち早く発売。AndroidでもカスタムUIを積極的に採用。

7.JIL=大手キャリア連合
 ボーダフォン、チャイナモバイル、ソフトバンク、ベライゾンからなる「JIL」(ジョイント・イノベーション・ラボ)が、クロスプラットフォームのウィジェット環境を開発するという。大手キャリア同士の力関係から、難しさもあると思われるが、影響力を持ってくる可能性もある。

 カスタムUIによって、iPhone以降のフルタッチ携帯のユーザーインターフェイスは急速に変化しはじめているのだ。その目的は、次のようなことだろう。

● AndroidやWindows Mobileを、iPhoneなみにシンプルに
● マルチタスクの切り替えをフリック動作でラクチンに
● TwitterやFacebookなど、ソーシャルメディアとの連携
● 携帯電話を「ウィジェット端末」ともいえるものに

 日本では、iPhoneが売れ始めている。海外では、Android端末はiPhoneの数分の1という水準と思われるが、こちらも売れ始めている。Android Marketのソフト登録本数は、先頃、1万本を突破したといわれる。それに対して、日本では、まだ当分の間は従来型の携帯電話の時代が続くと考えている関係者が少なくないようだ。おサイフケータイやワンセグ、絵文字などがその理由だという。しかし、世界はiPhoneの次をめざして動きだしている。

※次回に続く


「iPhone」 利用実態調査

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■このコラムについて

 アスキー総合研究所所長の遠藤 諭が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。

 本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。

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