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【所長コラム】「0(ゼロ)グラム」へようこそ Act.34

Windows 7は何がよいのか?

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2009年10月14日 15時35分

I run Windows 7

 10月22日に発売が予定されている、マイクロソフトのPC用基本ソフト(OS)「Windows 7」について、「何がいいのですか?」とよく聞かれる。わたし自身は、早いベータ版には手を出さなかったが、8月頃から、ふだん仕事で使っているPCにリリース候補版を入れている。

 このコラムでも「Windows 7はセンサOS?」という話で、Windows 7について触れたことがある。ここで言う「センサ」というのは、位置(GPS)や温度、加速度、光、画面のタッチなど、PC本体に備えられた感知デバイスのことである。

 これまでも、「VAIO type P」にGPSが付いているなど、センサを装備したPCはあった。しかし、コンピュータの世界では、ウィンドウズが“標準”で対応したことの市場への影響力は大きい。マイクロソフトが決めたのならと、ソフトメーカーも対応ソフトを安心して開発できるからだ。光を見て画面の配色を変えたり、GPSに合わせて表示位置を変える地図ソフトなど、いろいろな機能が思い浮かぶ。

 だが、GPSにしろ加速度センサ(振ったり叩かれたりしたのを感知できる)にしろ、液晶のマルチタッチにしろ、「iPhoneやAndroidには付いているでしょう」と指摘されるかもしれない。最近のスマートフォンではお馴染みの機能というわけだが、Windows 7は、PCのモバイル性能が、スマートフォンと同等になると考えてもよい。

 そうなのだ、マイクロソフトは、モバイル領域もWindows 7で攻めていこうと考えている。Windows 7にはいくつかのバージョンがあるが、そのうちの「Starter Edition」は、いわゆる“ネットブック”用である。iPhoneとAndroidに対抗する「Windows Mobile 7」という商品も計画されているが、先日、同社はプロジェクトが遅れていることを認めたばかりだ。

 現在、ネットブックが占有している「お気軽ノート」の領域は、これから1~2年の間に、急速にiPhoneやAndroidのようなタッチ操作の端末になってくのではないかと思う。発売が噂されているアップルのタブレットは、Mac OSではなく、iPhone型のOSが搭載されると思う(iPhone OSも中身はMac OSなのだが)。一方、マイクロソフトと仲の良かったインテルが、「モブリン」というモバイル向けOSを出してくるなど、この領域、業界的には風雲急を告げているわけなのだが……。

 業界的な見方では、Windows 7は、モバイルからサーバまで、ほとんどのラインナップに関わるきわめて重要な製品ということである。

仕事にバリバリ使うには
とてもよく出来ている

Windows 7のバージョン

 Windows 7は、「新しいOSというのは、必ず自分とっても何か便利になることがあるものだ」とういことを実感させてくれるOSである。それはつまり、「Windows Vista」には、そうでない部分があったということだ。実のところ、Windows 7は、内部的なバージョンは「Windows 6.1」で、Windows VistaはWindows 6.0である。これは、OSの中身がそれほど新しくなっていないことを意味している。しかし、その分、Windows 7はとても「わきまえたOS」になっている。

(1)出しゃばらず、しかし気の利いた使いやすさ。
(2)Vista、XPから違和感なく引越しできる親しみやすさ。
(3)抜群の安定性・互換性を維持している安心さ。

 みんながふだん使うWindows 7については、むしろこういったことのほうが大切ではないだろうか。わたしがWindows Vistaで使っていたソフトの数は100本以上あると思うが、Windows 7にアップグレードしてみて、その中で明確に動作しなかったのは、1本だけだった。Windows 7の使いやすさ、ストレスのなさは、自分の家族や友人にもなんの心配もなく勧められるスジの良さがある。

 「使いやすさやストレスのなさ」というのは、各種操作が練れたことや、動作の軽快さによるものだ。タスクバーが優れている、ウィンドウ操作が便利、通知がおとなしくなった(Windows Vistaでは通知がしつこいことが米国の「Macをはじめよう」CMでもネタにされていた)など。ほかにも、仮想フォルダ、ツールバーや検索も便利になっている。さらには、エクスプローラの検索コネクタでウェブ表示など、ちょっと上級向けのシブ目の使いやすさも追加された。

 いくらiPhoneやAndroidが出てきたといっても、机でガシガシ使うコックピットはWindows 7だろう。お茶の間的なネットブックは、先に触れたようにiPhoneやAndroidのほうに近づくと思うが、生産性の差は歴然としているからである(PCなら3分で済むことを、iPhoneで10分かけてやっている人がいる=その気持ちよさが、iPhoneの魔力なのだが)。

リモート・メディア・ストリーミングの
意味するもの

 わたしはまだ試していないのだが、Windows 7に付属のWindows Media Player 12には「リモート・メディア・ストリーミング」という機能がある。これは、自宅のPCの中にある音楽やビデオのファイルを、外出先から再生してみれるというものだそうだ。そんなことをやるヤツは、よほどのオタクだろうと思われそうである。あるいは、なんらかの映像や音楽の関係者は使うかもしれないが。

 これをやるには、Windows Live IDが必要になるのだそうだが、それでも、こんなことはいままでは超マニアにしかできなかったことだ。それが、一般のユーザーでもネットに繋がっていさえすれば、カンタンに自宅のコンテンツを再生できるというのは、画期的なことではないかと思う。制限付きではあるが、個人の持つデータが、自宅のパソコンの中にありながら空間を超えたということだ。

 これは、ちょっぴりネットのパラダイムを変えることになる。クラウドコンピューティングのような大きな波ではないかもしれないが、ひょっとしたら何かの兆しなのではないかとも思える。いまのところP2Pではあるが、クラウドを介して繋がるわけで、「ユーザーとクラウド」ではなく、「個人のPCとクラウド」の関係を変えるという意味で注目できる。


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■このコラムについて

 アスキー総合研究所所長の遠藤 諭が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。

 本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。

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