アスキー総合研究所 > 所長コラム > テレビも映画も網膜も、ただの「画面」になる
2009年12月01日 16時52分
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| グーグルが開発中の「Google Chrome OS」。開発版は「chromium os」となっている。起動すると、ブラウザであるGoogle Chromeが全画面表示で立ち上がるだけの非常にシンプルなOSだが、あらゆる「画面」の基盤となる可能性を秘めている。2010年後半に正式リリースされる予定。 |
11月19日、グーグルは「Google Chrome OS」をプレビューした。Chrome OSというのは、前回触れたブラウザの「Google Chrome」やクラウドに関する議論ともおおいに関係がある。世界に5台のコンピュータ(正確にはクラウド)しかいらないような環境では、ほとんどの処理はクラウド側のサーバがやってしまう。ユーザー側のOSでは、ブラウザさえ動けばいいわけだ。
その結果として訪れるのが、「ディスプレイ時代」ともいうべきものだ。PC、モバイル、携帯から始まって、デジタルサイネージから、映画、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、RID(網膜操作ディスプレイ)まで。いままで、およそ別の世界のものと思われていたさまざまな「画面」が、1つの共通のプラットフォームに近づいていく可能性がある。
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映像であろうが、文字であろうが、ゲームの画面であろうが、どの画面にも自由に表示して見ることができるようになる。脳科学の世界では、すでに2匹のザリガニのシナプスを電子デバイスを介して繋いだりしているそうだ。脳に直接映像や文字を送り込めるようになるまでは、世界のメディア年表の上では、「画面の時代」と記されるべきだろう。
「どの画面にも、何でも出せるようになる」などと書くと、「エンドウさん、あなたは業界というものを分かっていない」とか、「それで仕事をしているのではないから仕方がないですね」とか言われそうだ。しかし、すべての画面で何でも出せるようになるということを、象徴するようなことがいま起こっている。ゲームのプラットフォームがそれだ。
歴史的には、最初はゲーム機やアーケード機が中心で、次にPCも入ってきて、10年ほど前に携帯電話が加わった。そこにいま、iPhoneが加わり、ソーシャル・ゲームが出てきて、馬鹿げたほどの勢いで伸びている。つまり、いままでゲーム画面ではなかったところが、ゲーム画面になってきている。
単純に、iPhoneとiPod toutchを合わせて5000万台のプラットフォームだ、というような議論ではない。重要なのは、iPhoneやソーシャル・ゲームでは、ゲームの提供プロセスが変わったということだ。実のところ、いま我々のまわりにある「画面」の裏側には、ゲームくらいは十分処理できるシステムがついている。かつてはゲームパッケージという配布手段しかなかったが、App StoreやSNSによって、「この画面でもやれるじゃん」ということになったのが、いまなのだ。
ソーシャル・アプリケーションは、2007年に、Facebookがそのプラットフォーム化を宣言したことで始まった。当時、感度の高い複数のユーザーから、「Friend For Saleやらないの?」と同時に言われたのを覚えている。それは、ユーザーを売り買いしてペットにできるというゲームで、ペットをほかの人のペットと遊ばせたりもできるものだった。しかし、現在の異常とも思える盛り上がりは、今年に入ってからのものである。
日本では2009年8月に、ミクシィが「ミクシィ・アプリ」の環境を提供開始。ゲームに関しては、当初は「グラディウス」や「テトリス」などが提供されたが、農場ゲーム『サンシャイン牧場』が、またたく間に300万人のユーザーを獲得して注目されている(現在も伸び続けている)。
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| Facebookアプリの『Farm Ville』というゲームは、6500万人のユーザーがプレイしている。全世界のSNS人口は5億人程度であり、全ネット人口17億人の30%はSNSユーザーという計算になる。この膨大な潜在的ユーザーを背景に、粘っこい友だち誘導の仕組みで伸びているのが、ソーシャル・ゲームである。 |
iPhoneゲームやソーシャル・ゲームではたして儲かるのか? という議論については、たしかに注意が必要だろう。しかし、ゲームをプレイする画面が、ゲームコンソールやポータブルゲーム機から飛び出しつつあるというのは事実なのだ。実際、ソーシャル・ゲームにおいては、それを楽しむための画面がPCである必要はまったくない。『サンシャイン牧場』を提供している中国企業Rekoo(リクー)によると、17のプラットフォームで同ゲームを提供中だそうだ。
ゲームは1つの例に過ぎない。クラウドが顕在化してきたことで、テレビでもパソコンでもなんでも、いつでも同じようなものを表示できるようになる可能性がある。あらゆるデバイスは、ただの「画面」になるということだ。そのときに、最も重要になる技術が、ブラウザだといえる。これを最も意識しているのが「Chrome」であり、「Chrome OS」なのではないかと思う。
さて、「Chrome」の1周年パーティで話したかったことのもうひとつは、次回。
※モバイルやSNSのプラットフォームといえば、今年第2回となる「i*deal Competition 2010」の募集が開始されている。SNSやいまの環境を活かしたソフトが集まると楽しい。
アスキー総合研究所所長の遠藤 諭が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。
本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。