アスキー総合研究所 > 所長コラム > 「カジュアルデジタル女子」のゆくえ
2010年08月31日 20時28分
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アスキー総研は、毎週、3000店から提供いただいた販売データをもとにゲーム関連の売上ランキングを発表している。『電撃便』というB2B向けデータとして販売しているのだが、先週発表した今年のお盆シーズンのゲームの販売状況に少しばかり異変が起きていた。
例年、この時期は「ニンテンドーDS」のハードとソフトが売れる。日本中で人が移動するということで、「子供たちに携帯ゲーム機」となるといえば分かりやすい。1年前の2009年同時期の『電撃便』を引っ張りだしてみると、1、2位がDSソフト。2008年も1、3、5位がDSソフトだった。
実のところ、今年も、DSソフトが7位から18位の12本のうち9本を占めている。つまり、売れていないとはいえないのだが、以下の1~5位に並んだタイトルを見ていただきたい。
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1位の「Another ~」は、ガンダムをはじめロボットアニメに登場するさまざまな機体を操作するというゲーム。3位の「超次元ゲ ~」は、美少女たちが架空のゲームハードに変身して異世界の“ゲイムギョウ界”を冒険する異色のRPG。4位は腐女子にPS3を買わせているといわれる人気タイトル。5位が「初音ミク」である。
要するに、ゲームランキングの上位がとても「アキバっぽく」なっている。
ちなみに、前週も戦国BASARA3が2位、初音ミクが4位にランクイン。ベスト5にPS3ソフトが3本も入った関係で、ハードもPS3が対前年同時期4倍のペースで売れている。これも何かのめぐりあわせといえばそうなのだが、もはやあのパッケージ価格を新品で買えるのは、Wii Partyを子供に買ってあげることのできる親と、アキバ系の人たちだけなのだというような指摘もありそうだ。
そうした中でも安定して動いているのは、任天堂Wiiのカジュアルゲームである。このシーズンには、2008年に「Wii Fit」(4位)、2009年に「Wii Sports Resort」(3位)、2010年は「Wii Party」(2位)と、売れ筋ソフトの売上をさらに上乗せしている。さすがに「ブルーオーシャン戦略」の世界的な手本といわれるだけのことはありますね。
ゲームユーザーには、いくつかのクラスターというものがある。アスキー総研の調査では、昨年、『崖の上のポニョ』を見たのは20代女性がとびぬけて多かった(12~69歳対象の「MCS 2010」)。当然、女性では子供を連れて映画に行く人も多いがそれを差し引いても20代女性がトップと思われる数値となった。
ところが、この層は、DSソフトの「トモダチコレクション」をプレイしている人が実に9.2%もいるのだ。ポニョを見ていない20代女性の4倍という非常に高い相関性を示している。「おいでよどうぶつの森」も同様、ポニョを見た20代女性は12.2%という脅威的な率で遊んでいる。つまり、DSとカジュアルゲームを支えている中心層の1つが、ポニョという1つの指標で浮かび上がってくるわけだ。
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| 『崖の上のポニョ』を見た20代女性と見ていない20代女性を比較すると、ポニョを見た20代女性が、ゲームを非常に良く消費していることがわかる。 |
このポニョ系20代女性だが、カジュアルゲームの利用層であると同時に、ケータイ系コンテンツにも関心が高い点も注目すべき点といえる。ケータイ電子書籍の閲読状況を見ると、ポニョ系20代女性は有料ケータイコンテンツの利用者が4.2%、非ポニョ系20代女性の1.4%を大きく上回っている。
もちろん、ポニョ系20台女性というのはその典型ということで、「カジュアルデジタル女子」ともいうべき広がりがあるということだ。ジブリアニメも見るし、カジュアルゲームややるし、ケータイ小説にもお金を払ってくれる、コンテンツに関してはとてもロイヤリティの高い良質な消費者なのだ。
たとえば、2009年のお盆シーズンに1位だった「ドラゴンクエスト IX 星空の守り人」は、どちらかといえば男子向けゲームだが、20代、30代女性は、合計24.6%と第二のコア層を形成。2位の「トモダチコレクション」も、10代女性にはおよばないものの20代女性が中心ユーザー層。2008年にお盆シーズン1位だった「リズム天国ゴールド」にいたっては、12歳以上の集計ではあるが、20代女性が最大の年代別ユーザー層なのだ。
ひるがえって、今年のお盆シーズンが、このようなランキングとなった理由はどこにあるのだろうか? ある人は、「いままでDSをやっていた子供は何をしているのでしょうねぇ?」といった。しかし、カジュアルゲームの一大ユーザー層は、カジュアルデジタル女子に違いないのだ。
それでは、ポニョ系20代女性は、いまなにをやっているのだろうか?
1.『怪盗ロワイヤル』をやっている
2.『Wii Party』をやっている
3.もうゲームはやっていない
アスキー総合研究所所長の遠藤 諭が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。
本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。